アートはお好きですか?
アートというと、ピカソが書いた絵みたいに、見てて気持ちよくないし、意味も分からない絵だったり、公園に置いてあるよくわからない金属の塊だったり、ちょっと一般人には理解できませんよね。
本書はそんな考えを持っていた私を、アートってこんなにも自由で楽しいんだって思わせる、新しい考え方を与えてくれる良書でした。
いきなり厳しいお言葉。でもそそられる!
本書の冒頭では一枚の絵が掲載されて、これを自分で観賞してみましょうと書いてありました。私はめんどくさいのでチラッとみるだけで読み進めました。
すると「じっと動かない1枚の絵画を前にしてすら「自分なりの答え」をつくれない人が、激動する複雑な現実世界の中で果たしてなにかを生み出したりできるのでしょうか。」と著者は述べる。き、厳しいけど、ぐうの音もでない。。。。この著者はなにを教えてくれるのでしょうか。
各章で出される問いからアートについての理解を深める
本書の構成は、各章の冒頭で著者からの問いがあり、これを踏まえた上でアートの歴史的作品からアートについての「奥ゆかしい知識」を得ていくという構成になっています。
20世紀のアートの歴史は過去のアートの常識からの脱却
アートに親しくない私たちにはアートの常識ってありますよね。「美しくなくてはいけない」「正確に描かれているべきだ」「自分の手でつくるべきだ」などなど。
20世紀のアートはそういう常識から脱却することが20世紀のアートなのだそうです。
著者は最後には「最後にアートには枠組みがないんだ」「ただアーティストがいるだけ」という主張にまで発展していきます。興味がでてきませんか。
伝わらないと思うのですが、すごくわかりやすくて興味をそそられる解説で、アートに関する理解が深まる感覚がとても心地よかったです。
アートは音楽のように解釈していい!
本書で一番ためになったことを紹介します。
それは、アートというと何か作者の背景や時代、意図から正解の解釈を知ることがアートを観賞することとつい思ってしまいがちです。しかし、著者はそれだけが観賞ではないと言います。
たとえば、音楽を聞くときに、聞いた場所やそのときの出来事、そのときの気持ちで自分なりの解釈をすることがあります。それは作曲者や歌手とは独立した観賞となります。
アート作品だって、この観賞と同じように鑑賞者が作者とは独立した観賞をすることがあっても良いと言います。
音楽は耳に入れると、なんとなく観賞できますが、アート作品は読書と同じように自分から考えないと感想は出てきません。でも、アート作品に音楽のような感想を持てるのって、とても素敵だと思うんです。
いままでは、そんなこと考えたことはないのですが、なにか一つ自分なりの観賞をしたお気に入りの作品を作りたいなと考えました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
とても面白い本ですので、是非読んでみてください。